検診・健康お役立ち情報

毎日ドクタ- 健康かわら版 6月号

―  熱中症対策をしましょう ―

産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹

■熱中症のメカニズム
熱中症とは人体が高温、高湿度の環境に長時間さらされた場合におこる現象です。急に気温が上昇する6月から湿度の高い梅雨時の7月、そして炎天下の8月や残暑の9月によく発症します。屋外だけではなく屋内でも体育館、イベント会場、コンサ-ト会場、通勤電車など、人が密集していて風通しが悪い環境で発症しますので注意しましょう。その本態は血管の緊張や発汗作用をコントロ-ルしている自律神経の失調や大量発汗による脱水症状、さらには脳の体温調節機能の失調と多岐にわたります。

■熱中症の症状

軽症: 高温、多湿の不快な環境により血管の緊張が不良となり、立ちくらみ、めまいがおきます。また、発汗作用の低下により体表温度の上昇がみられたり、手足の末梢循環不良により筋肉が硬くなったりしびれを感じたりします。
中等症: 水分摂取不足により脱水症状が加わると、脱力、握力低下、頻脈、血圧低下、けいれん、失神などがみられます。
重症: 脳の視床下部にある体温調節中枢が機能しなくなり、40度以上の発熱、昏睡ショック症状をおこします。

■熱中症の症状
① 気温の上昇や湿度の上昇に徐々に慣れていくために涼しい時間帯や地下街を利用して毎日15分程余分に歩きましょう。ストレッチや軽めのダンベルなども有効です。
発汗をおこなう汗腺の代謝が良くなると汗の出やすい体になり、気化熱により体表温度が下がり快適に過ごせるようになります。
② 口渇を感じる前に、こまめな水分補給をしましょう。
③ 団扇や扇子で首や顔面を下から扇いで体表温度を下げましょう。
④ 帽子や日傘で直射日光を避けて、首回りや脇の通気性の良い服装をしましょう。
⑤ 大量の発汗時はスポ-ツドリンクを利用しましょう。適度な塩分も有効です。

■熱中症の緊急応急処置
軽症の場合は首回り、衣服をゆるめて涼しい所で横になり、水分を補給しましょう。
中等症の場合は同じく首回り、衣服をゆるめて涼しい所で横になり、スポ-ツドリンク
や塩分補給をしましょう。けいれん、頻脈、握力低下、ふわふわする場合は病院で点滴治療が必要です。医療機関を受診しましょう。
重症の場合は40度以上の発熱、昏睡、ショック症状をおこしているため直ちに救急車を手配します。救急車の到着までは首回り、衣服をゆるめて涼しい所に寝かせて額、首回り(頸部)、脇、股間(ソケイ部)をアイスパックや冷水で冷やして待機しましょう。