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毎日ドクタ- 健康かわら版 5月号
― 企業における健康経営 ―
産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹
■健康経営という概念
最近、健康経営という考え方を積極的に導入する企業が増えてきました。健康経営とは『従業員の健康は、現在の企業活動を支えると同時に将来の企業発展を導くものであるという理念のもと、従業員一人ひとりの健康は企業にとって経済的価値を有している事を認識して、健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践していく』ことです。
例えば、重要な仕事を任されていた従業員が急に心筋梗塞で倒れたり、ストレスにより鬱傾向となった従業員が休職せざるを得なくなると、ご本人は勿論の事、企業にとっても大変な事態となります。健康経営の基本は緊急事態が発生した時の断片的な対応ではなく健康管理について、予防的、継続的に組織的な方針を決定して、企業として投資をしていくことです。
■健康経営の中核
① 毎年行う企業健診、メタボ健診、夜間従事者健診など。
★将来発生する危険のある病気の予防。(高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞など)
★健診後の二次検査、精密検査の受診勧奨。(やりっ放しにしない)
★悪性腫瘍の早期発見、治療。(内視鏡的手術、腹腔鏡的手術により早期に職場復帰)
★メタボ、生活習慣の改善。(保健師や管理栄養士による食事指導、特定保健指導)
② 昨年12月より実施が義務化されたストレスチェック。
★ストレスの一次予防。(個人レベルでの考え方や行動の工夫)
★ストレスの二次予防。(産業医との個人面談の利用)
★ストレスの三次予防。(精神科専門医の受診)
★風通しの良い職場環境の構築。(高ストレス者が多い部署の改善)
★ストレスチェック後の全体セミナ-。(全ての従業員へフィ-ドバック)
③ 勤務体制の見直し、長時間労働の是正。
④ 禁煙の推進。
⑤ 体力増進を目的とした健康スポ-ツの推奨。
■健康経営の鍵
企業のトップによるトップダウンの決定が不可欠です。また最高健康責任者(CHO)を選任して特別チ-ムを結成する企業もあります。産業医、保健師、管理栄養士、精神科専門医との連携も大切です。そして雇用者と被雇用者が共に『従業員全員の健康管理は企業活動や企業発展に直結している事を認識して、双方が同じレベルで努力をしていくことが最も重要な鍵となります。