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毎日ドクタ- 健康かわら版 9月号
― 残暑の疲労回復に梅干を ―
産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹
■残暑の胃腸は
残暑がきびしいこの時期は夏の疲労や冷たい飲み物などの影響で胃腸障害を起こす方が増えてきます。食欲がなくなったり、お腹が張ったり、軟便が何度も出たり様々な胃腸症状がみられるようになります。冷たい飲み物が急速に胃に流入しますと胃壁の毛細血管は収縮して胃粘膜の血流は低下します。胃酸や胃粘液を分泌する消化管分泌細胞の機能も低下がみられ食後の胃もたれ、膨満感の原因となります。
■梅干の効能
梅干は昔から日本人に縁の深い食品で、さまざまな言い伝えも残されています。弁当に梅干を入れておくと御飯が傷みにくいという話はよく聞きます。また江戸時代には「梅干はその日の難のがれ」ということわざがあり、朝でかける前に梅干を1つ食べておくと、その日は食欲がわき胃腸も快調で風邪もひきにくいとされていました。梅干を想像しただけで唾液が出てきて食欲がわいてきます。
梅干の主成分のクエン酸は強力な殺菌作用があり食品の腐敗を予防します。日の丸弁当やおにぎりの具に梅干を使用することは食中毒予防の効果があります。またクエン酸は体内で発生した疲労物質をすばやく代謝して慢性疲労の蓄積を予防します。細胞の新陳代謝を活性化して胃腸の消化機能を高める効果もみられます。
■梅干はピロリ-菌の活動を弱める
梅干には梅リグナンという成分がふくまれており、日本人に多いピロリ-菌の活動をおさえる効果(静菌作用)があります。
■梅干の塩分
一般的に梅干は塩分量9%以上のものをいいます。それ以下の減塩加工の施されたものは調味梅干といって区別されています。9%の中粒の梅干に含まれる塩分は約1gです。熱中症の予防、食中毒の予防、全身の疲労回復、消化機能の維持のために、1日に1個の梅干は塩分の取りすぎの心配もなく残暑を乗り切るためにお勧めの食材といえるでしょう。