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毎日ドクター 健康かわら版 9月号
― 冷房病(エアコン病)に注意しましょう ―
産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹
■冷房病(エアコン病)とは
夏季に冷房を使用し過ぎて体温調節機能を掌る自律神経に失調をきたした状態を総称して冷房病(エアコン病)といいます。自律神経の働きは人体の生命維持に必須で我々が様々な環境に適応できるように働いています。暑い環境下では血管を拡張させて放熱をおこない体表温度を下げようとします。逆に寒い環境下では血管を収縮させて熱を逃がさないようにして体表温度の低下を防ぎます。ところが暑い屋外と冷房の効いた屋内を頻繁に出入りしたり、冷房の効いた屋内に長時間滞在し続けると自律神経の働きに失調をきたすようになり冷房病(エアコン病)といわれる様々な症状が出現してきます。
■冷房病(エアコン病)の症状
①頭痛
発熱を伴わない頭部全体の頭痛が多く見られます。長時間冷房の効いたオフィスで仕事をしていると頭部の血管が収縮して血管周囲の神経が刺激を受けて頭痛が発症します。
②手足の冷感
長時間冷房の効いた環境に居ると手足の末梢血管が収縮して血行が悪くなります。またデスクワ-クで座位が続くと更に手足の血行が悪くなり手足の冷感が強くなります。
③倦怠感
暑い屋外から冷房の効いた屋内に入ると冷風のあたる露出した体表面(顔面、頚部、手足)の血管が収縮して次に体幹(衣服の下)の血管が収縮してきます。この血管収縮の時間差により全身の血行動態がアンバランスとなり倦怠感が出現します。また屋外と屋内の出入りを頻繁におこなうと血管の収縮と拡張のリズムが乱れて倦怠感が増大します。
④吐き気 食欲不振 下痢
長時間冷房の効いた環境に居て、自律神経により血管が収縮した状態になると胃腸の血流も低下して消化機能や蠕動機能が悪くなります。また冷たい飲み物や食べ物は胃腸粘膜の血流低下をおこし消化器症状に拍車がかかります。
■冷房病(エアコン病)の予防 対策
冷房の効いた屋内では薄手の上着、ひざ掛けが有効です。冷風が直接あたらないように工夫しましょう。長時間の座位は避けて時々足踏みや体操をして血流改善をしましょう。冷たい飲み物や食べ物は控えましょう。入浴して発汗作用を刺激すると自律神経失調が改善します。就寝中のエアコンは設定温度に注意しましょう。靴下を履いて寝ると末梢血管の収縮が予防されて冷房病(エアコン病)の軽減に効果があります。