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毎日ドクタ- 健康かわら版 4月号
― 口腔疾患と全身の疾患との関連について ―
産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹
口腔疾患の代表に齲歯(虫歯)と歯周病があります。この2つ口腔疾患は私達の健康長寿に重大な影響を及ぼしています。これらの疾患と全身疾患との関連が重要視されています。
【齲歯(虫歯)と全身疾患】 (注 齲歯:うし)
■ 誤嚥性肺炎
『80・20運動』とは、80歳の時に自分の歯を20本健在にしておく運動です。歯による咀嚼運動は、食べ物を細かく砕き、より消化吸収しやすくします。齲歯(虫歯)により自身の歯を失うと、しっかり噛めなくなり丸呑みする傾向があらわれます。また加齢による咽頭反射の低下も相まって食べ物の誤嚥が増大します。高齢者では誤嚥性肺炎が致死的な病気となります。
■ 体重減少・筋力低下
自身の歯を失い咀嚼運動が低下しますと噛み切る力が衰えて、食事のバランスが悪くなります。とくに良質なタンパク質の摂取に支障をきたして栄養バランスが不良となり体重減少や筋力低下をまねきます。高齢者にとって、自活していくライフワ-クに影響が出てきます。
【歯周病と全身疾患】
■ 糖尿病
歯周病は口腔内に常在している歯周病菌による慢性炎症で歯肉腫脹(歯槽膿漏)や歯痛、歯髄・歯槽骨破壊をおこします。放置していれば齲歯(虫歯)の原因となります。歯周病により口腔内常在菌が歯肉腫脹(歯槽膿漏)部位から慢性的に体内に侵入すると、全身の血液内で炎症性サイトカインが増大します。この炎症性サイトカインは膵臓から分泌されて食後の血糖値をコントロ-ルするインスリンというホルモンの働きを悪くします。その結果、健康な方が糖尿病予備軍になったり、糖尿病治療中の方が病状悪化をきたしたりします。
■ 感染性心内膜炎
歯周病により齲歯(虫歯)をきたし抜歯の処置を受けますと傷口から口腔内常在菌のレンサ球菌が大量に体内に侵入・感染することがあります。歯科では抜歯処置後は必ず抗生物質を3~4日分処方して感染予防をしています。不完全な内服により感染をおこすと心臓内膜に急性炎症をきたし、心嚢液貯留や心不全を発症することがありますので注意が必要です。