検診・健康お役立ち情報

毎日ドクタ- 健康かわら版 6月号

― 健康診断の正しい見方 ―

産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹

■最近の健康診断基準値にかかわる報道
本年4月4日に日本人間ドック学会が発表した『超健康人』に関する基準値が物議をおこして医療の現場では間違った解釈をしておられる受診者が増えています。日本人間ドック学会は血圧が147/94、悪玉コレステロ-ルが178mg/dlでも健康な人がいると発表しましたが、その後の波紋の大きさや『基準値が緩和される』という解釈が一人歩きしたことを懸念して、4月7日には改めて『今回は中間報告であり今後も調査を継続します。今すぐ基準値を緩和することは考えていません』と釈明発表を出しています。
日本高血圧学会日本動脈硬化学会は従来の基準値は
①様々な研究により医学的な根拠が立証されたものである
②健康診断の本来の目的である疾病予防も考え合わせたものである
③受診者の健康にかかわるリスクが増えれば基準値はより厳しくなる
と見解を発表しています。医療の現場では今後も従来の基準値を踏襲して医学的な根拠のもとに病気の予防も視野に入れ、お一人お一人のリスクに見合った指導をしてまいります。

■高血圧の考え方
日本高血圧学会の提唱する基準値は
①医療機関で測定した場合は140/90までが理想
②家庭で測定した場合は135/85までが理想(家庭での測定を重要視する)
③糖尿病や腎臓病の方は医療機関で測定した場合は130/80までが理想
としており、家庭での血圧測定を推奨しています。糖尿病の方は全身の血管合併症を考慮して、また腎臓病の方は腎機能の将来にわたる温存を目的に基準値が設けられています。

■悪玉コレステロ-ルの考え方
日本動脈硬化学会は国内外の様々な研究により、悪玉コレステロ-ルが140mg/dlを超えると血管内に脂のプラ-クが発生して心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まると注意を呼び掛けています。心筋梗塞や脳梗塞は血管の閉塞率が小さいと無症状のこともありますので健康診断では予防的見地から悪玉コレステロ-ルは120mg/dlまでがのぞまれます。また悪玉コレステロ-ル140mg/dlを超えている方は何らかの改善対策が必要となります。

■治療の基本
治療の基本は①食事の見直し・管理栄養士による食事環境の改善、②運動による肥満・血流改善、③内服治療の順番です。健康にかかわるリスクが複数ある多重リスクの方は主治医のもとで早期の治療が大切です。