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毎日ドクタ- 健康かわら版 8月号
― 食中毒の予防について ―
産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹
■食中毒予防の基本
高温多湿の夏は食中毒が発生しやすくなります。食中毒は毎年1000件~3000件発生しており、患者数は3万人~5万人にのぼります。食中毒予防の原則は食中毒菌を付けない、増やさない、退治することです。
■細菌性食中毒の症状
①腸管出血性大腸菌O‐157
牛の腸に生息している細菌です。牛刺し、内臓の生食は危険です。加熱調理が大切です。感染すると2日前後で激しい腹痛、下痢、血便がおこります。劇症重症化する傾向があります。
②サルモネラ菌
鶏、牛、豚などの腸や鶏卵に生息しています。また河川や下水にも生息しています。犬、猫などのペットから感染することもありますので嗽、手洗いが大切です。感染後6時間から72時間で腹痛、下痢がみられます。
③腸炎ビブリオ
海水に常在している菌で、海水温が20℃以上に上昇すると増殖します。シラス、アジ、サバ、タコ、イカなどの生食から発生します。海水浴後に皮膚の傷から感染することもあります。感染後10時間から20時間で腹痛、下痢が見られます。
④黄色ブドウ球菌
おにぎり、寿司、仕出し弁当などで発生します。皮膚に常在している菌で、調理の際に菌が食品に移行し食品表面で増殖後、毒素を産生します。感染後1時間~5時間と早い時期に腹痛、下痢が見られます。耐熱性毒素のため加熱調理では予防できません。調理人の徹底した手指の消毒と食事前の手洗いが大切です。
■食中毒の予防ポイント
①調理人の手指の消毒と食事前の手洗いをしっかりして食中毒菌を付けない。
②食材を買ったら保冷バックを利用して持ち帰る。帰宅後は直ちに冷蔵庫に保管する。冷蔵庫は70%ほどの収蔵にして保冷効果を高めて食中毒菌の増殖を防ぐ。
③加熱調理を基本として、調理器具は除菌、消毒を徹底して食中毒菌を退治する。
④食中毒が発生した場合は、医療機関を受診して疑わしい食事を報告しましょう。
症状によって便培養、血液検査、点滴、抗生剤投与などがおこなわれます。また2次感染予防のため、自宅のトイレ、台所、タオルなどの除菌、消毒も重要です。