検診・健康お役立ち情報

毎日ドクタ- 健康かわら版 4月号

戦国武将の死因予測から学ぶ

産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹

■戦国武将の死因予測

武田信玄 享年53歳(1520年~1573年)
京を目指し三方ヶ原で徳川家康を打ち負かすも吐血により体調不良となり上洛を断念。甲斐への帰国途中で亡くなる。進行胃癌による吐血が考えられる。乗馬や鷹狩りなどをして常に体を鍛えていたが戦乱のストレス、肉体疲労は相当のレベルであった。

上杉謙信 享年49歳(1529年~1578年)
自らを毘沙門天の化身とし戦乱を治める軍神となり合戦の日々を送った。越後の豪雪地で岩堂に入り経を唱える等ストイックな性格で毎晩大量飲酒をしていた。日頃から血圧が高く何度も軽症脳梗塞をおこしていた。織田軍との決戦の際に陣中の厠において重症脳梗塞を発症。意識消失のまま亡くなった。

織田信長 享年49歳(1533年~1582年)
先見の明と決断力で天下統一を目指したが本能寺で明智光秀の謀反に合い自害した。既成概念にとらわれない考え方や統治が重臣たちとの間に溝を生み出していた。

豊臣秀吉 享年62歳(1536年~1598年)
織田信長亡き後に天下を統一して太閤秀吉となる。天下人に近づく頃から食生活が贅沢になった。塩分味付けの濃い食事を好み晩年は肝臓、腎臓障害よる中毒物質から脳症を合併して人格障害をおこす。末期は摂食障害による急激な体重減少の記録があり消化器系の癌による死亡が考えられる。

徳川家康 享年73歳(1543年~1616年)
信長や秀吉を間近で観察して健康長寿の必要性を痛感する。自ら漢方薬を煎じて健康に留意していた。戦国武将の中では驚く程に長生きしたが晩年は腹痛に悩まされた。御天医の診たては信用せず自身で煎じた漢方薬を飲んでいたと記録がある。食道癌、胃癌による死亡が考えられる。

■戦国武将の死因予測から学ぶ
戦国時代の死因第1位は肺炎や肺結核などの呼吸器感染症でした。2位が心不全、3位が脳卒中、4位が癌と考えられています。戦国武将の生き様からは精神的ストレスや肉体疲労の蓄積のため癌から体を守るNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性が低下していたと考えられ、多くの武将達は癌で亡くなっています。
現代の死因第1位は癌です。癌細胞の増殖を抑えるこのNK細胞の活性を維持することが大切です。ストレス軽減、長時間勤務是正、良質な睡眠、食物繊維の豊富な食べ物を摂ることによりNK細胞の活性を維持しましょう。毎年、健康診断や二次検査を必ず受けて癌を早期に発見しましょう。高血圧は予備軍の段階で塩分制限や適度な運動を開始しましょう。動物性脂肪の多い食事や大量飲酒は肝機能障害、脂質代謝異常、糖尿病、腎機能障害の原因となります。過食に注意して節酒しましょう。ストレスの少ない風通しの良い職場環境を目指してコミュニケーションは笑顔と挨拶から始めましょう。また、『貴方の当たり前と私の当たり前は微妙に違う。それを当り前にしましょう。』という考え方でお互いをリスペクトした所から始めましょう。