検診・健康お役立ち情報

毎日ドクター 健康かわら版 11月号

 ― 健康長寿の担い手ホルモン アディポネクチン とは ―

毎日ドクター理事長・産業医
山田 正樹

アディポネクチンとは
アディポネクチンは私達の体内に存在している脂肪細胞から分泌されるホルモンです。
100歳以上の高齢者女性では血中アディポネクチン値は高いことが判明しています。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されますが過剰な脂肪細胞の蓄積により肥満症になると分泌量は減少します。適正体重の方はメタボ体型の方よりも血中アディポネクチン値が高く、故にアディポネクチンは健康長寿を担うホルモンと考えられています。

アディポネクチンの作用は
①2型糖尿病の予防
アディポネクチンは血糖を筋肉に取り込みエネルギ-として燃焼する作用を手助けして2型糖尿病の予防をします。内臓脂肪が増えてメタボ体型になるとアディポネクチンの分泌量が減り血糖が利用されず糖尿病予備軍となっていきます。

②動脈硬化の予防
動脈硬化は過剰な悪玉コレステロ-ルが血管内皮細胞に沈着して炎症を起こしプラ-クと呼ばれる瘤を形成することにより進行します。アディポネクチンは血管内皮細胞の炎症を抑え瘤の増大を防ぎます。

アディポネクチンを増やすためには
大豆食品はアディポネクチンの分泌を増やします。豆腐料理は色々なアレンジができますのでおすすめの食材です。ただし豆腐料理もカロリ-がありますので注意して下さい。ニンジン、トマト、おくら、小松菜などの緑黄色野菜もアディポネクチンの分泌を増やす食材といわれています。また、ワカメ、あおさ、ひじきなどの海藻類もアディポネクチンの分泌を増やす効果があります。
内臓脂肪が増加するとアディポネクチンの分泌量は減少します。体脂肪を燃焼させて適正体重を目指すためにウオーキング、適度な筋トレを行いましょう。

■臨床的応用は
血中アディポネクチン値は採血検査により測定可能ですが、現在は保険診療では認められていません。
正常値は5~10μg/dlです。糖尿病、動脈硬化、高血圧症の予防と健康長寿の指標として今後の臨床的応用拡大が期待されています。